会社勤めのトレーダーにとって、買い注文を入れた後の逆指値は、リスク管理上必須と考えていた。
ザラ場中、板に注視できないのだから、多くのリーマンデイトレーダーは、この方法がメインではないかと推測する。
特にザラ場中に大きな大事件が起きれば、逆指値があるのとないのとでは大きく明暗を分ける事になる。
例えば、リーマンショックや東日本大震災は良い例だろう。
2008年9月15日・リーマンショック
ノミタの友人であるMは、FXだがザラ場中に突然会社が忙しくなり、暫くの間パソコン画面から目を離していた。
戻ってくるやいなや、目を疑ったという。
家1件分の財産が消えていたというのだ。
いったい何が起きたというのか?
リーマンショックである。
ザラ場中に出たので、パソコン画面に張り付いていた人たちの多くは即座に反応できたが、放置プレイの友人Mは、逆指値も入れずに大変な目にあったと悔いを残す。
家1件分の財産が一瞬で吹っ飛んだ瞬間だった。
2011年3月11日・東日本大震災
今でも記憶に新しい東日本大震災だが、発生時刻は午後2時45分頃、あと15分で取引も終了という最中に起こった。
激しい揺れに、株の事など忘れてしまった人も多かったのではないだろうか。
株価はみるみるうちに崩れだし、特に東京電力株はこの日を含め4日間、地獄を見る事になるのである。
福島第一原発事故である。
株価は翌日から3日間寄らず、2,300円ほどあった東電株は震災から4日目、ようやく700円台で寄った。
リーマンショック・東日本大震災では、逆指値を入れていた人は命拾いをした事になる。
放置していた人は地獄を見た事だろう。
これらのケースを見る限り、逆指値を入れておく事は最大のリスク管理であり、決して間違いではない事が窺える。
しかし、これらのケースは数年に一度、イヤ数十年に一度かもしれない極めてレアなケースであり、レアケースを第一に念頭に置いた投資は、もはや投資に参加する資格がないのかもしれない。と、考えるようにもなったのである。
ノミタは極めて心臓の弱いビビリだ。
だから、購入後、即座に逆指値を入れる。
不安で仕方ないからだ。
しかし、これが失敗の元となったケースは数えきれないほどあり、悔しい思いに何度も涙を呑んだのである。
よくあるケースとして、ストップ高に一度到達し、その後若干の下落を見せ、最終的にはストップ高というケースがある。
逆指値が引っかかり、その後ストップ張り付きというなんとも悔しい思いだ。
こんな時は得てして、翌日大幅GUである。
ミクシィでは翌日、朝からストップ張り付きという苦い経験をしたものだ。
トレードの経験を積むにつれ、逆指値はやって良い場面といけない場面がある事に気が付いた。
上昇局面かそうでないかで判断する事である。
また、ストップ高の場合、材料あってのものかそうでない騙し上げなのかでも判断が分かれる。
材料があり、ストップ張り付きもうなづけるネタであるなら、何度はがれようがガマンした方が良い。
逆に、ネタもないのに気が付けばストップ高という場合、一度はがれたら一気にガラるケースが多い。
この場合は逆指値は入れておくべきだろう。
ストップ高で売っても良いケースだ。
大きな材料が出ての乱高下は目まぐるしい動きをする事もよくあり、大きく下落するとどうしても精神的にあせってしまう。
その心理が逆指値という形に表れてしまうわけだが、まずは冷静な判断をする事が重要だ。
現在の上昇は本物なのかニセモノなのか、それを見極めた上で逆指値を入れるか否かを決める判断力が求められるのだろう。